デューデリジェンス
デューデリジェンスとは
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、英語で、「Due:当然行われるべき」、「Diligence:努力」と直訳されます。
もともとはアメリカから来た法律用語で、投資家保護の観点から証券発行時の情報が証券取引法の開示基準に適合しているか否かを確認するために行われていた情報の精査が起源とされています。
日本の不動産業界において今日、デューデリジェンスという言葉は、投資用不動産の取引や会社の吸収・合併(M&A)、プロジェクトファイナンス等の場合に実施される詳細かつ多角的な調査として定着しつつありますが、基本的には、「不動産取引において対象不動産の有する適正な市場価値やリスクを明らかにするために実施する詳細かつ多角的な調査」と定義できます。
詳細かつ多角的な調査は主に3つの側面から行われ、(1)経済的側面、(2)物理的側面、(3)法的側面に分けられます。
日本の不動産マーケットにおいてデューデリジェンスの必要性が盛んに叫ばれるようになったのは、デューデリジェンスの慣行を持つ外国人投資家が参入してきたからだけではなく、まさに今日の不動産マーケットのニーズを適確に捉えたものであるからといえます。
従来の日本の不動産取引においては、契約締結の前に不動産業者が重要事項を調査し、当該調査結果を買主に説明するのが慣行になっています。そして後に瑕疵が発見された場合には売主がそのリスクを負担する仕組みになっています。
これに対し、アメリカにおいては売買契約締結後・決済、引き渡し前にデューデリジェンスが開始され、必要に応じてリトレードされる、つまり、デューデリジェンスの結果如何では売買価格が引き下がり、または契約がキャンセルされることもありえます。
ご存知の通り、日本の不動産取引における重要事項説明内容は、取引慣行によってその内容が限定されており、不動産業者の事前調査についても、残念ながら、取引される物件の性格に応じた詳細な調査が行われているとは必ずしもいえません。
実際問題として、工場跡地をマンション用地として購入した際に、土壌汚染が発覚したケース、投資案件として購入した不動産について大規模な資本的支出が過去計上されておらず、収益力保持に支障をきたしたケース等、事前に取引対象物件のもつリスクを把握していなかったがために後で損害を被ってしまった例も増え始めています。
地価の右肩上がりが約束されていた時代なら、こういったリスクも時が解決してくれたかもしれません。
しかし、土地神話が崩壊し、継続的な地価上昇を前提としたキャピタルゲインが望めず、不動産の取得・保有に伴う将来リスクは増大しています。 従来の更地至上主義から、「更地よりもテナント居着きの建物の敷地(貸家建付地)の方が価値がある」といった考え方が優位を占めるようになってきています。
このような時代背景の中、不動産の適正な市場価値を把握し、不動産に係わるさまざまなリスクを顕在化させ、指摘する能力が求められているのです。
言い換えれば、物件のリスクを明確に把握する事により、当該リスクを回避し、最適な資産運用を図る事も可能です。